おくればせばがら スカタライツ レポート

jamaicalove2004-09-30

結成から40年が経ったオリジネイターが今年も日本にやってきてくれた。
メンバーは少しずつ入れ替わり、オリジナルはLLOYD BREVETT、LLOYD KNIBBSのリズムツインズとLESTER STERLINGだけとなってしまった。JOHNNY MOOREはJAMAICAN ALL STARSの方に専念しているらしいし、またオリジナルメンバーではないが、再結成では重要な役割を果たしてきたCEDRIC IM BROOKSも抜けてしまった。替わりに今年のメンバーとなったのはKARL CANNONBALL BRYAN、彼もやはりスカ時代からのサックス奏者であり、セッションミュージシャンとして多くのナンバーにスカタライツの連中なんかと共に参加している。アイランドからのコンピ「INTESIFIED!」にもセッションマンとして彼の名前を見つけることができる。またトロンボーン奏者としてVIN GORDON、別名DON D JUNIORが参加している。彼は例えばLEE PERRYの傑作「MUSICAL BONES」(彼のソロ作のようなもの)など、レゲエ時代の重要なホーンプレイヤーであり、彼名義の作品は再発されていないため、非常に高価な値で取引されている。ただしほとんどお目にかかることはない。



2004年9月19日〜20日@渋谷クアトロ

渋谷クアトロで行われた2日間とも観に行かせてもらった。
去年は新宿LIQUID ROOMだったからまだキャパはあったが、クアトロのキャパでは案の定満員で身動きが取れない状態であった。
「JAH RASTAFAR I !!」の掛け声と共に始まる、もうおなじみのオープングである。ロイド・ブリベットが「JAH〜」と叫ぶと観客が「ラスタファーライ!」と返す。もちろん最初の曲はカウントダウンで始まる「FREEDOM SOUND」だ。ホーンセクションが音を出すと、もう観客は最高のテンションにまで上り詰める。初めの音でここまでしびれさせることができるのは、ほとんど神と信者のような関係がそこにあるからかもしれない。

  • リズム隊の2人をリズムツインズと表現したが、これは本当はSLY&ROBBIEのことを指すのだが、2人のロイドはオリジナル・リズムツインズと言い切ってしまってもかまわないだろう。SLYなんかは今でもLLOYD KNIBBSを尊敬してやまないし、ジャマイカンミュージックがここまでリズムを強調した音楽となったもの、この2人がいたからだと思わせる。特に「EL PUSSYCAT」でのブリベットのベースライン「ボボボボボーン、ブーン」は体を芯から振るわせてくれる。口もパクパクとベースラインを刻みながら、全身を使って地響きを起こす。

新しく加わったメンバー、VIN GORDONのトロンボーンはさすがJUNIORとニックネームを付けられただけあって、象の雄叫びにも似た図太い音をBLOWしてくれた。自分のソロがない時には、踊りまっくっていて、初めはVIN GORDONに似たただのおちゃらけメンバーかと思わせたが、さすがである。最後の「FREEDOM SOUNDS」ではレスターが2日とも、むちゃくちゃステップを踏んで踊っていまた。本当に客を楽しませようとしている姿に、こちらもうれしくなる。

19日は広島、大阪、名古屋での疲れがあったのか、少しぎこちない部分もあった。ニブスのドラムは少し遅れたり、ジュニアのトロンボーンは割れ気味であったりしたのだが、歌姫DOREEN SHAFERがロックステディ「CAN'T YOU SEE」を歌っている時は音が聞こえなかったのか、LESTER STERLINGの合いの手サックスと波長が合わず遅れ気味になってしまっていた。しかし20日はもう完璧なチームプレーだったと思う。東京初日は実は疲れとかではなく、名古屋の後、少し日があいたので調子が狂ったのかもしれない。彼は演奏を止めることは出来ないのである。曲目はおなじみのものばかりだったが、今年は「EASTERN STANDARD TIME」をやってくれた。またDOREEN SHAFERは、夢にまで見た「ADORABLE YOU」を生で聞かせてくれた。これほど美しい曲はないと今でも思っている。

  • どこにあったか思い出せないが、WEBでスカタライツのどこかでのライブを丸々ダウンロードできるサイトがあって、そこではアンコールで「WELCOME BACK HOME」を聞くことができる。こちらもJACKIE&DOREEN名義の名曲。
  • 再結成のメンバーで唯一の白人、KEN STEWART。彼はスポークスマン的存在でオフィシャルサイトでの連絡先になんかになっているのだが、「ROCKFORT ROCK」でのソロで「TAKE FIVE」を織り交ぜながら怪しげなソロを聞かせるなかなかにくい男である。彼はレゲエフィルム「ROCKERS」の中で、GREGORY ISAACSに車のロックを開けてもらい、チップをケチる男に違いないと、勝手に思っているのだが、、、それにしてもよく似ている。

1989年に初来日してから、何度目の日本になるのだろうか、JACKIE MITTO、TOMMY MCCOOK、ROLAND ALPHONSOとオリジナルメンバーたちが亡くなってしまっていってもスカ・トレインは動きつづける。スカ・スペースシップはいつでも僕らを月まで連れて行ってくれる。JOHNNY MOOREも、CEDRIC BROOKSも、もう一度引っ張り込んで、来年も再来年も来てくれる事を信じています。
次回はぜひ、「INSTRUMENTAL aka JAPAN SPECIAL」をやってください。

FROM JAMAICA WITH LOVE
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